日常生活の注意事項
監修:野﨑 祐史先生(近畿大学病院 リウマチセンター)
感染予防について
治療薬の中には、免疫を抑制する働きをもつものがあります。感染予防の留意点についてご紹介します。
- 感染予防習慣
- 手洗いやうがい、外出時のマスク着用をお勧めします。
- ワクチン
- 肺炎球菌・インフルエンザなどの予防接種は主治医に相談し、接種することをお勧めします。
- ケガ
- わずかな傷も放置すると傷口から感染し悪化することがあります。
消毒などの手当てをして治りが悪いときは早めに皮膚科受診をお勧めします。
もし体調不良になったときは
関節リウマチ治療薬は休薬すると関節リウマチの状態が悪化することが多いため、
必ず主治医に体調の状態を報告し、お薬を継続するか、休薬するかの早めのご相談をお願いします。
食事について
- 食事
- たんぱく質・ビタミン・鉄分・カルシウムなどバランスよく食べましょう。筋肉量・骨粗鬆症・貧血対策に重要です。食べてはいけないものは特にありません。ただし副腎ステロイドを内服している場合は肥満傾向、血糖上昇、悪玉コレステロール上昇などが起こりやすいので、過食や脂肪分の多いものを控えることをお勧めします。
- サプリメント
- 一般的に市販されているサプリメントで関節リウマチに効果が証明されているものはありません。 葉酸が多く含まれている青汁や海藻類などは一部の抗リウマチ薬の効果を減弱させますのでご注意ください。サプリメントを併用する場合は必ず主治医にご相談ください。
- アルコール
- 肝臓でアルコールは代謝されますが、お薬も代謝されます。アルコールで肝障害が起きればお薬の副作用が生じる場合があります。お薬の内服(服用)時での摂取は避けましょう。
健康管理について
- 歯科検診
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関節リウマチと歯周病は関節リウマチの発病・悪化に関連があるとされています。歯周病治療で歯周病が良くなると関節リウマチの状態も良くなるとの報告があります※1ので一度是非歯科検診をお勧めいたします。また毎日の丁寧な歯磨きは肺炎予防にも重要です。※1 Mustufvi Z, et al.: Rheumatology Advances in Practice, Volume 6, Issue 2, 2022, rkac061
- 禁煙
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関節リウマチと喫煙は関連があるとされています。
お薬の効果を最大限発揮させるためには喫煙されている患者さんは是非禁煙しましょう。 - フットケア
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関節リウマチ患者さんは外反母趾により、足の親指が靴に当たることから皮膚トラブルが生じやすいとされています。
- 運動
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関節リウマチ患者さんは、筋肉量が減少することでサルコペニア※2という状態になりやすいとされています。安静にしすぎると筋肉量が落ちますので、散歩や室内でのトレーニングやリウマチ体操を是非やってみましょう。※2 サルコペニア=加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下
- 妊娠
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関節リウマチ患者さんは関節リウマチの状態が悪いほど、妊娠しにくい※3とされています。 妊娠希望の際は可能な限り症状を落ち着けてからにしましょう。抗リウマチ薬には妊娠希望の患者さんは飲めない種類がありますので、妊娠をご希望される際は主治医にご相談していただき、スケジュールを決めましょう。授乳に関しても同様です。※3 H. Ince-Askan, R. J. E. M. Dolhain: Best Pract Res Clin Rheumatol 29: 580-596 (2015)