伝えることの重要性
監修:日髙利彦先生(宮崎善仁会病院 リウマチセンター 所長)
関節リウマチに伴う負担や不安、要望を主治医の先生に伝えることが、患者さんの最適な治療につながる近道です。
「関節リウマチ診療ガイドライン2020」では、治療目標の達成に向けた治療原則が定められています。 関節リウマチの治療を続けていくためにも主治医の先生とともに治療目標を共有し、患者さんの負担を考慮した治療を検討することが重要となります。
治療原則
- A.
関節リウマチ患者の治療目標は最善のケアであり、患者とリウマチ医の協働的意思決定に基づかねばならない。
- B.
治療方針は、疾患活動性や安全性とその他の患者因子(合併病態、関節破壊の進行など)に基づいて決定する。
- C.
リウマチ医は関節リウマチ患者の医学的問題にまず対応すべき専門医である。
- D.
関節リウマチは多様であるため、患者は作用機序が異なる複数の薬剤を必要とする。生涯を通じていくつもの治療を順番に必要とするかもしれない。
- E.
関節リウマチ患者の個人的、医療的、社会的な費用負担が大きいことを、治療にあたるリウマチ医は考慮すべきである。
日本リウマチ学会編 関節リウマチ診療ガイドライン2020. 診断と治療社: p16, 2021.
患者さんの負担や不安、要望を伝え、主治医の先生とともに適した治療目標を検討していくことが、治療満足度の向上につながります。
主治医と関節リウマチの治療目標について「話し合ったことがある」と回答した患者さんでは、話し合ったことも説明を受けたことも「どちらもない」患者さんに比べて、現在受けている医療に満足している可能性が高いことが報告されています。
調査対象:20歳以上の公益社団法人日本リウマチ友の会会員1,156人
調査期間:2019年9月
調査概要:本調査では、回答者に対し「主治医とリウマチの治療目標について話し合ったことがあるか」の有無(上部・円グラフ)や「医療への満足度」(0〜100点で評価)を確認した。「医療への満足度」については、「話し合ったことがある」、「説明を受けたことがある」、「どちらもない」、「未記入」の各項目ごとに81点以上の回答者の割合を算出した(上部・棒グラフ)。
日本リウマチ学会編 関節リウマチ診療ガイドライン2020. 診断と治療社: p184, 2021.図6, 表2より作成